2018年5月11日金曜日

住んだままの断熱リフォームで気密C値0.9を記録



201712月に完成した断熱リフォームのおうちで気密測定をしたところ、C0.9を記録した」
河合さんがめずらしくうわずった声で電話をくれたのがその年の暮れ。
――それはぜひ取材したいね。ひと冬越して、その後がいいかも。


電話口でそんな話をしてから約3ヵ月。
3月下旬、暖かな日差しの日に取材ができることになりました。
(編集長・白井康永)

大切なのは気流止め工事

住んだままの断熱リフォームでじゅうぶんに暖かくなることは、2016年、17年末の取材で体感していたので、今回の取材では新築住宅をも上回る気密性能に性能アップした住宅をひと目みて体感したい、という思いが強かったことを告白します。

最高気温がマイナス気温という真冬日に取材した2件の断熱改修はこちら。
「暖かくなって、外壁と屋根を張り替えて500万円は安い」札幌市北区拓北Sさん

高床式3階建ての大きな家をどうやって暖かくするか!? -あったかハウスの挑戦

住んだままの断熱リフォームでは、寒さの原因となる壁の中の冷気を止める「気流止め」の設置がとても重要になる。
このことをいままで記事にしてきました。
それを言い換えると『気流止めがしっかりしていれば、気密性能がさほど高くなくても暖かくなる』ことを意味しています。

「そんなウソくさい話は信じられない」
「無責任なことを誰が言ったのか?」
住宅業界の人ほど疑います。
しかし、じつはここに断熱工法の大切な真実が隠されています。

「断熱リフォームでは、気密性がさほど高くなくても気流止めを設置すれば暖かくなる」

これは、室蘭工業大学鎌田紀彦名誉教授(現・新住協代表)が気流止め断熱改修工法の説明会で解説した言葉です。
鎌田氏は、最も普及している高断熱・高気密工法「新在来工法」を開発・普及させた建築学者です。

気密性能を高める気流止めの工夫

あったかハウス河合建築事務所・代表の河合さんは、鎌田氏の工法をベースに、断熱リフォームの勉強会「あったかリフォーム倶楽部」での活動などを通じて独自の改良を加えています。

河合さんはこれまで手がけた多くの断熱リフォームの経験から、室内の間仕切壁と1階床の取り合い部の気流止め、床下の断熱強化、外周壁の気流止め+気密化を非常に丁寧に実施するようになりました。



この結果、気密性能の面でも新築以上の好結果を記録することができたといえそうです。
C0.9がどのくらいのレベルかというと、家を解体して、柱と梁だけにしてからリフォームするフルリフォームにおける最高レベルと同等、超高気密住宅と呼べるレベルです。

グラフは、北海道住宅新聞社が独自に調査した超高気密住宅(R2000)の新築時と築15年を経過した気密性能です。今回のリフォームがいかに高気密かわかってもらえると思います

主なポイントになっている外壁面と1階床部分の気密化が以下の写真です。
この部分は、気流止めと同時に気密性能を高めるため、外壁をはがして断熱材をいったん取り除き、気流止めを兼ねる防湿・気密シートを施工するという方法をとっています。

グラスウールをいったん取り除き土台の上から防湿・気密シートを貼っていく(乳白色の部分)

その後、断熱材のグラスウール(ピンク)を戻して断熱・気密・気流止め工事が完了



間仕切壁の気流止めがいちばん大事

住んだままの断熱改修では、新築と異なり、すべての部位で完全に気流止め工事ができるケースのほうがまれかもしれません。それでもできる限りの工事をしないと効果が現れないのですが、間仕切壁の気流止め工事が最も大切であることが、北海道立の研究所である北方建築総合研究所の最近の研究でわかってきました。
ところが、間仕切壁の気流止めは非常にやりにくい工事でもあります。

あったかハウス・河合建築事務所は、1階床では気流止め工事を行った上で床下から断熱施工を行います。
写真はちょうど間仕切壁に気流止めを設置した状態。気流止めとはどんなものかというと、写真中央にある透明のポリ袋に入ったグラスウールです。
気流止めを2つ折りにして丁寧に間仕切壁と床の取り合い部に入れていきます。これが実際はなかなかたいへんな手間のかかる工事で、丁寧にしなければ効果がないです。

気密性は高いが床に外気が吹きこむ家

今回のお宅は札幌市の北隣り、石狩市のY邸。完成・竣工が1987年(昭和62年)4月というから、ちょうど築30年の木造在来工法の家でした。
Y邸は、当時としては最先端の熱交換換気暖房設備が導入されており、リフォーム工事前の気密測定ではC3.3を記録しました。かなりの気密性能です。
写真は2階床に設置されている温風暖房の吹き出し口です。

気密性能はそれなりに高いのですが、セントラル暖房の熱交換換気暖房を運転すると暖房費が高い。そのためけっきょく生活空間のLDKだけを暖房するかたちになっていました。しかもかなり寒かったそうです。

工事に取りかかって、寒さの原因がわかってきました。


まずは、気密性能はそれなりに出ているものの、気流止めの措置がないことです。
このため、床下の冷たい空気が床や間仕切壁の中などを通り、室内の床や壁をさながら冷房パネルのように冷やしていたと考えられます。
写真は外壁をはがして気流止めを施工する前の床付近です。ピンクのグラスウールの上に畳のワラ床が確認できます。つまりこの家は、畳床に外気が直接入りこむ構造だったのです。

加えて、外壁側には断熱材が入っていない部分があったそうです。古い住宅ではこういう例がときどきあります。河合さんによると、ユニットバスの床や天井に断熱材がないケースが多いといいます。

夜暖房を止めても朝16℃を維持

工事が終わったのは2017年の12月。札幌はすでに白い季節になっていました。
リフォーム前は夜通し運転していた灯油暖房ボイラーを、この冬は24時間タイマーを使い、夜10時から朝4時までの6時間は運転を停止しました。それでも朝は16℃の室温があるといいます。
暖房灯油の使用量はまだ1年分がまとまっていませんが、1520%程度減る見込みとのこと。ただ、何より暖かく、1階床のヒンヤリ感がなくなったことがうれしいとYさんご夫婦。

こだわりの断熱リフォーム


「主人は河合さんと気が合ったのかな。河合さんが手稲コミュニティセンターで毎月開催しているセミナーを聴きに行って、その後は話がトントン拍子で進んでいく感じで」と奥さま。
「でもね、まさかリフォームするとは思わなかったのよ」。
えっ、そうなんですか?

長年連れ添ったご夫婦でも、相方の気持ちが測りきれないのですね。だから夫婦は飽きないのかもしれません。
明るくのんびりとした春の1日でした。

※この記事は、北海道住宅新聞社が運営する札幌圏の住宅取得者のためのホームビルダー探しサイト「札幌良い住宅jp」に掲載された内容を、運営会社の承諾を得て転載したものです。
この記事は河合のやっていることをしっかり書いてくれたので、自分のホームページにも掲載させていただきました。